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いま、社会保障がおかしい

 全国にはいま、国民健康保険の正規の保険証を渡してもらえない人たちが、150万世帯を超えて存在しています。その人たちの受診率は、正規保険証を持っている人たちと比べて51分の1という低さです(2006年度・全国保険医団体連合会調査)。
正規の保険証を渡してもらえないのは、保険料を滞納しているからだというのですが、国保に加入している世帯のうちの75%は、年所得が200万円以下(30%は所得無し)です。国保には所得によって保険料の一部を減免する制度がありますが、その減免を2005年度に受けている世帯は、全体の43%にも上っています。つまり、それだけ苦しい所得状況の人が多い、ということです。

 それにも関わらず、年所得が21万4000円の低所得世帯に対しても、4万円近い保険料が賦課されるということが国保では行われています。その結果、加入世帯の2割にあたる470万超の世帯が、保険料を払えなくなっています。

 また、生活保護の分野では、2006年7月秋田市で、睡眠障害などで会社を解雇され、車の中で寝起きしていた30代の男性が、働けるようになるまで生活保護を受けさせて欲しいと2度にわたり生活保護を申請しましたが、就労可能であるとして2度とも申請を却下され、福祉事務所の駐車場で抗議自殺をするという事件が起きました。同じ年の12月には函館市でホテルマンをしていた40代の男性が、不況のあおりを受けて解雇され、求職活動をしても仕事に就けなかったため、福祉事務所に出向き生活保護を申請しようとしましたが、ここでも働けることを理由に追い返されアパートで餓死状態で発見されています。

 北九州に至っては、生活保護から閉め出されたことによる餓死者が3年連続発生し、最近では、肝機能障害などの病気のために働けなくなった50代の男性が生活保護を申請し、約2カ月間生活保護を受けて生活していたのですが、ケースワーカーから「そろそろ働いてはどうか」と言われ、保護辞退届を提出させられて保護を廃止され、「おにぎりがたべたい」と書き残して餓死状態で発見されています。

 いま我が国には、政府調査だけでも、1万8000人を超える路上生活者がいると言われていますが、この人たちには、住民登録がないことを理由に生活保護の適用が拒否されています。

 私たちの研究では、2002年段階で日本には1105万世帯を超える貧困世帯が生まれていると考えていますが、生活保護を受けているのは、87万世帯にしかすぎず、その人たちに対しても、稼働世代の場合、生活保護を受けられる年限を原則5年に限定するという「有期保護」の方向性が打ち出されて、社会保障からの追い出しが進められようとしています。

 社会保障というのは、こういうものであって良いのでしょうか?
保険料が払えなかったら、医療が受けられないという国に、日本はなるのでしょうか?

このままで いいの? 社会保障

 社会保障には、医療や生活保護以外にもたくさんの役割が期待されています。
子どもたちやお年寄り、障がいのある方たちへの保護と保障、自力だけでは人間らしい暮らしをするだけの所得や労働の場が得られにくい稼働世代の生活の底を支えるための保護と保障。そういったことが、社会保障には期待されているのではないでしょうか?
子どもたちも、お年寄りも、働く場を求める人々も、みんな、その日の暮らしと将来に対し、言うに言えない不安を感じながら生きています。
 病気になったらおしまい、働けなくなったらおしまい、ではなく、病気の時もそうでない時も、働いている時も働けなくなった時も、どんな時でも私たちのそれぞれの状態に合わせて暮らしと未来を支えてくれる、そういう社会と社会保障をみんなで創ろうというのが、私たちの提案する「社会保障基本法」の目標です。

 このホームページ内の「社会保障基本法案」をぜひご一読いただき、ご意見・ご賛同をお願いできればと思います。

ご意見・ご賛同