「生活保護」という言葉に、みなさんどんなイメージをお持ちですか。
 ポジティブかネガティブかと問われれば、ネガティブな印象をお持ちの方が大半ではないでしょうか。なぜでしょう。それは、生活保護に絡んだ話題の多くが「不正受給」、または「打ち切り」「水際作戦」など、生活保護を受けたくても受けられない、そしてその結果、「孤独死」が起きた、などというものばかりで、「生保のおかげで助かった」とか「生保があるから安心」などの話を一切聞かないからではないでしょうか。
 なんでそんなことになってしまっているのか。「健康で文化的な最低限度の生活を保障する」との憲法条文はどうなってしまったのか。生活保護をめぐる動向から探っていきたいと思います。

19 Aug

  北陸新幹線がやってきました。

 新幹線のある所で生まれ育ったので、新幹線が通ったこと自体は「そうなのか」という程度に思っていたのですが、人の流れがこんなに変わるとは思っていませんでした。時々観光地近くを車で通ることがあるのですが、とにかく観光客がいっぱいです。イベントがあれば観光客の方がたくさん来られます。ガイドブックに載ってしまうと、いつも行っている甘味屋さんも人がいっぱいでなかなか入れません。店に入れないとなると、喜んでばかりもいられません。

 

 さて、今回は住宅扶助基準が実質引き下げになったことについて、住宅扶助基準以内で住宅を探すとどうなるのか、社会保障審議会生活保護基準部会で使っていたインターネットサイトを見てみました。金沢市は2級地―1で、住宅扶助特別基準は34,000円です(共益費は除く、金沢市は引き下げの対象ですので、引き下げ前の住宅扶助基準です)。健康で文化的な最低限度の基準は国土交通省が定めています。単身ですと、台所(二口コンロ設置可能)、トイレ・風呂別、六畳一間に押入れが別についており、ベランダが設置されている、というのが国土交通省の基準です。また、1981年以前に建てられた物件は耐震基準を満たしていません。家賃と間取り(エアコン付を条件に追加)と耐震基準、合致してなおかつすぐに入居できる物件をインターネットサイトで調べると、1060件のうち64件、約16.5件に1件の割合でしか見つからないのです。場所をよく調べてみると、スーパーマーケット(コンビニエンスストアは除く、業務スーパーは含む)に徒歩10分以内で行ける物件は64件のうち28件しかありません。中には3キロメートル離れたところにしかスーパーマーケットがないという物件もあります。日々の買い物だけでも考慮すると、自動車か自転車がないと買い物ができないことになります。しかも冬は雪が降るので、自転車での買い物は危険です(自動車でも怖いときがあります)。

 

 また、ほとんどが1階か2階の空き部屋でしたが、中にはエレベーターが設置されていない建物の3階や4階というのもありました。若い人は大丈夫かもしれませんが、加齢に伴って荷物を持ちながら階段を上り下りするのは非常に困難になってきます。(1)

 

 もう一つ興味をひかれることがありました。上記の条件を満たす物件の空き待ちが10件ほどあったことです。家賃は固定的費用になってきますので、出来るだけ安く抑えたいということで、皆さん同じような物件を探しているのだと思いました。

 

 国土交通省が定める最低基準を満たしかつ住宅扶助特別基準を満たす物件を探すことはインターネットサイトを調べるだけでも大変だということが分かりました。仮に物件があったとしても公共交通網が発達していないと、その分を自分でなんとかして補わないと生活が成り立ちません。金沢市は住宅扶助基準引き下げの対象ですので、このような物件探しがより困難になり、国土交通省が定める最低基準を満たさない物件に住まざるを得なくなります。健康で文化的な最低限度の住居は本当に保障されるのか、疑問に思います。

 

(1)拙著「生活保護制度における住宅扶助基準削減」『医療・福祉研究』第24号、医療・福祉問題研究会、2015年3月、p59―62参照

 

元金沢星稜大学非常勤講師 冨家 貴子