「生活保護」という言葉に、みなさんどんなイメージをお持ちですか。
 ポジティブかネガティブかと問われれば、ネガティブな印象をお持ちの方が大半ではないでしょうか。なぜでしょう。それは、生活保護に絡んだ話題の多くが「不正受給」、または「打ち切り」「水際作戦」など、生活保護を受けたくても受けられない、そしてその結果、「孤独死」が起きた、などというものばかりで、「生保のおかげで助かった」とか「生保があるから安心」などの話を一切聞かないからではないでしょうか。
 なんでそんなことになってしまっているのか。「健康で文化的な最低限度の生活を保障する」との憲法条文はどうなってしまったのか。生活保護をめぐる動向から探っていきたいと思います。

12 Sep

 この間まで暑いと思っていたら、朝晩はだんだん涼しくなってきました。 

  近くに栗の木があるのですが、真夏だと思っていても、ちゃんと緑の栗の実をつけているのが目に入り、「もう秋なのか」と思っていたら、本当に少しずつ秋らしくなってきました。植物は、花を咲かせたり、実をつけたりする時期がちゃんとわかっているのだなと感心したものです。

 

さて今回は、生活保護と高齢者施設の関係について少し触れたいと思います。この間調べることがあり、行政機関の方には何度も連絡しては、お忙しい中教えていただきました。改めてお礼を申し上げます。

 

高齢者の施設といえば、2000年以前は養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、老人保健施設(在宅復帰施設)が主でした。介護保険制度が施行されてから、高齢者の住まいは様々な形態をとっています。例を挙げると、サービス付き高齢者専用住宅や有料老人ホームなどがあります。有料老人ホームなどは介護保険法上は「居宅」となりますので、入居しても訪問介護や通所介護などの在宅サービスが必要な場合は、入居料や食事料とは別に介護サービス利用料の支払いが生じます。

 

 生活保護制度は他制度の影響を受けるので、高齢者施設の取り扱いも生活保護制度では規定されています。今回は特別養護老人ホームと有料老人ホームを取り上げます。

 

 特別養護老人ホームは現在も多床室となっているところがありますので、多床室が最低限の基準となります。生活保護利用者は多床室利用が基本となります。しかし、現在では、ユニット型の個室が主流となっています。生活保護制度の場合、ユニット型の利用は認められていないわけではありません。しかし、費用については保障されていないのが現状です。ですので、社会福祉法人減免を利用して利用料を安くして生活保護利用者の受け入れ可能としている施設では、入居している人もいるとのことです。介護施設入居者基準生活費と介護施設入居者加算が算定されます。加算のほうは、障害者加算や母子加算が算定されていない方に算定される費用です。これらが身の回り品や衣料などの購入費用やお小遣いとなります。

 

 有料老人ホームの場合は「居宅」となりますので、入居費用はアパートなどで生活している費用、生活扶助費(一類・二類)と住宅扶助の合計の範囲内の費用のところを探さなければなりません。しかし、障害者加算のある方はそれを身の回り品や小遣い等に置いておくか、その中から有料老人ホームの費用をいくらか出すことができるのですが、加算のまったくない方は生活扶助費の中から身の回り品の費用を出さなければならないので、実際にはその費用をいくらか差し引いた額で入れる有料老人ホームを探さなければなりません。在宅サービス費用は介護扶助から1割負担分が出るのですが、通所系のサービスで摂る食事代は自己負担となりますので、その費用は有料老人ホームの食事代キャンセル分から出すか、残しておいた費用の中から出すかしなければなりません。

 

 そして、住所の問題です。特別養護老人ホームは「住所地特例」といって前に住んでいた住所地の福祉事務所が引き続きその方の介護費用を出します。ですので、他市の特別養護老人ホームに入居した場合でも、前住所地の福祉事務所が実施機関となります。ところが、有料老人ホームの場合は「居宅」、つまり家と一緒の扱いですので、他市の有料老人ホームに入居した場合は、他市の福祉事務所が実施機関となります。移管ケース(他市に生活保護利用のまま移動すること)となるとのことです。ここでまた問題が発生します。他市の有料老人ホームを探そうとしたときにその市の級地が前住所地よりも低い場合、生活扶助や住宅扶助も金額が下がるので、その下がった金額に見合った額で有料老人ホームを探さなければなりません。

 

 調べてみて、一見広がったように見える高齢者の住宅の選択肢が、実は低所得の方ほど選択肢が狭まっていくことがよく分かりました。有料老人ホームの場合、自宅で暮らす最低生活費の費用で入居可能なところであれば入居できるのですが、そうでない場合のところもあるので、1件1件調べていかなければなりません。また、特別養護老人ホームは社会福祉法人減免があるというものの、待機者数の多さがずっと問題となっているので、狭き門といわねばなりません。もし私が歳をとった時、私の暮らしは一体どうなるんだろうとも考えてしまいました。

 

元金沢星稜大学非常勤講師 冨家 貴子