「生活保護」という言葉に、みなさんどんなイメージをお持ちですか。
 ポジティブかネガティブかと問われれば、ネガティブな印象をお持ちの方が大半ではないでしょうか。なぜでしょう。それは、生活保護に絡んだ話題の多くが「不正受給」、または「打ち切り」「水際作戦」など、生活保護を受けたくても受けられない、そしてその結果、「孤独死」が起きた、などというものばかりで、「生保のおかげで助かった」とか「生保があるから安心」などの話を一切聞かないからではないでしょうか。
 なんでそんなことになってしまっているのか。「健康で文化的な最低限度の生活を保障する」との憲法条文はどうなってしまったのか。生活保護をめぐる動向から探っていきたいと思います。

19 Dec

11月の石川県は、ほぼ毎日「雨」でした。 

 雨が止んで「やっと晴れた」と思ったら1日ともたずにまた雨・・・、毎日毎日晴れ間が待ち遠しくて気が滅入っていました。ちなみに、石川県の11月の降雨量は、観測史上最高だそうです。「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉があるほど雨の多い地域です。しかも冬に近づいてきており、雷も多くなりました。雪が降る前は雷が必ず鳴ります。ちなみに日本一落雷が多い地域でもあります。金沢城の天守閣が落雷で焼失したというのもうなずけます。 

 

 

 さて今回は、今年8月からの生活扶助基準改定について書いてみたいと思います。一般的には毎年4月に生活扶助基準改定が行われるものですが、今年2月に生活扶助費削減が決まり、改定が大幅に遅れました。以前の生活扶助基準算定は、生活扶助第一類費(年齢別の個人にかかる生活費(食費や被服費等)で、世帯人員の数だけ加算していく)と生活扶助第二類費(世帯にかかる生活費(光熱水費等)で、世帯人員数ごとに金額が決まっている)、冬なら暖房費用の冬季加算、年末の一時扶助費(正月準備等の費用)等、基本的には金額を加算していくだけでその世帯の最低生活費が算定できました。

 

 

 今回は一体どのように改定されたのか、2013年度版生活保護手帳を開いてみました。まず思ったのは、「表が読めない」「計算式がよく分からない」ということでした。とにかく、複雑そうで面食らいました。

 

 

計算式は、1か月の最低生活費=A×2/3+B×1/3 、11月から3月は冬季加算(暖房費)がつくので1か月の最低生活費=A×2/3+B×1/3+C(12月は期末一時扶助費を加算)と書かれています。これは、生活扶助費第一類費・二類費ともに、①と②の二つの金額が書かれており、また世帯人員が増えるごとに食費等の一人あたりの金額は安くなることから、生活扶助第一類費に「逓減率」というものを掛け合わせます。

 

 

数式だけではよく分からないので、実際に計算してみます。東京都23区のどこかの区に在住の、30歳同士の2人世帯(無職)の4月(「C」の冬季加算を除く)の最低生活費の場合です。

 

生活扶助第一類費①=40270円  生活扶助第一類費②=37350円

生活扶助第二類費①=48070円  生活扶助第二類費②=48770円

逓減率①(2人世帯)=1.0000  逓減率②(2人世帯)=0.8850 

 

A=40270円×2人×1.0000+48070円=128610円

B=37350円×2人×0.8850+48770円≒114880円

128610円×2/3+114880円×1/3=85740円+38300円≒124040円 

 

つまり、124,040円が、東京23区に住む30歳同士の2人世帯の最低生活費となります。アパートを借りている場合は、これに家賃が加算されます。

 ちなみに、2011年度ではこのような計算方法でした。40270円×2人+48070円=128610円  

生活扶助第一類費=40270円   生活扶助第二類費=48070円 

 

つまり、128,610円にアパート代が加算されていました。私の計算間違いでなければよいのですが、計算してみて、こんなにも最低生活費が減っていたとは正直驚きました。3年かけて10%削減するとの話なので、最終的には約12,000円削減されることになります。何十万何百万もある中から1万円強引き下げるという話ではないのです。なんでこんなに減ったの?ここまで減らすような話を厚生労働省の生活保護基準部会というところで話していたっけ?と考えてしまいます。

 

 

 

   

 

 

最低限度の生活費が減額されて生活が更に大変になることももちろんですが、何でこんなに複雑な計算方法になったのか、私たち誰もが関わりのある最低生活費のことがますます遠く彼方に行ってしまったかのような印象を受けました。ある福祉事務所の方が、「これ(今回の計算方法)では、なぜこのような金額になるのか、生活保護の相談に来られた方や生活保護を利用している方に説明できない」と話されていましたが、聞いていて「その通りだ」と思わずにはいられませんでした。

 

 

元金沢星稜大学非常勤講師 冨家 貴子