「生活保護」という言葉に、みなさんどんなイメージをお持ちですか。
 ポジティブかネガティブかと問われれば、ネガティブな印象をお持ちの方が大半ではないでしょうか。なぜでしょう。それは、生活保護に絡んだ話題の多くが「不正受給」、または「打ち切り」「水際作戦」など、生活保護を受けたくても受けられない、そしてその結果、「孤独死」が起きた、などというものばかりで、「生保のおかげで助かった」とか「生保があるから安心」などの話を一切聞かないからではないでしょうか。
 なんでそんなことになってしまっているのか。「健康で文化的な最低限度の生活を保障する」との憲法条文はどうなってしまったのか。生活保護をめぐる動向から探っていきたいと思います。

10 Sep

 夏の疲れが出始めました。

最近疲れてぼーっとしていることが多くなり、部屋がますます汚くなってきました。ごはんを食べる小さいテーブルの上には書類やらいろいろと置いてあります。その中で、石川県のある日本酒の酒造メーカーのパンフレットにふと目が行きました。以前味覚の変化が起こっていることを書きましたが、考えてみれば、日本酒が飲めるようになったのは30歳を過ぎてからでした。それまで日本酒の味が分からなかったのですが、飲んで「美味しい」と感じるようになってからは、自分の好みの味の日本酒を酒屋さんで聞いて教えてもらったりしました。「米どころは酒どころ」という言葉の通り、多くの酒造メーカーがあります。20歳以上でお酒が飲める体質で日本酒が嫌いでなく、且つお酒をほどほどに楽しむことができる方は、石川県に来た際に好みの地酒を探すのも観光のひとつとしてよいのかもしれません。

さて、以前に「生活支援戦略」の検討についての研究会に参加したことを書いたことがあります。戦略の一つである「中間的就労」については、その時は「社会とのつながりを持つためには良いのかもしれない」と思っていました。しかし、大学院のゼミに出席して他の院生の発表を聞いているうちに、「『中間的就労』はその概念なり位置付けなりをはっきりさせないと大変なことになりはしないか」と考えるようになりました。前述の研究会に参加した時点では『中間的就労』が具体的にどのようなものかはっきりとはしていませんでしたが、私の頭の中では『中間的就労』は、就労形態が一般就労よりも緩やかなものというのがイメージとしてありました。労働時間が短く、仕事の内容も複雑なものではないという感じのイメージです。そして大変なことになるのではと思ったのは、そのような就労形態の場合でも、賃金は最低賃金法に基づいて支払われるのかという疑問が浮かんだからです。

 

というのは、最低賃金法第7条には、最低賃金法の適用除外として、「最低賃金の減額の特例」というのがあります。「最低賃金の減額の特例」に該当するのは、①精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者 ②試の使用期間中の者③職業能力開発促進法の認定を受けて行われる職業訓練のうち職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させることを内容とするものを受ける者であって厚生労働省令で定めるもの④軽易な業務に従事する者その他の厚生労働省令で定める者、の4つです。減額の特例を受けるためには、各都道府県の労働局長の許可が必要です。言い換えれば、許可を受けた事業主は最低賃金以下でも労働者を使用することができるのです。

 

最低賃金制度に適用除外を設けることの是非については、議論すべきだと思います。私自身は最低賃金に例外規定を設けることは問題だと思っています。外国から来た研修生を最低賃金以下のとても生活できないような賃金で働かせていたことが問題となっていますが、このようなことが起こるのは、最低賃金法の適用除外規定があるからです。「生活支援戦略」の描いている様々な「中間的就労」に最低賃金法の適用除外に該当するものが含まれているとすると、大変な問題だと思います。なぜなら、どんな賃金であっても、生活保護費が賃金の補填をしてくれるからです。

 

生活保護費と最低賃金、両者の関係は常に密接したものであることを改めて認識しました。そして、「中間的就労」の就労形態や就労条件を明確なものにしないと、たとえそれがわずかな割合であっても、働くことが本当に報われない社会を生み出す一要因になるのではないかとも思いました。

 

元金沢星稜大学非常勤講師 冨家 貴子