「生活保護」という言葉に、みなさんどんなイメージをお持ちですか。
 ポジティブかネガティブかと問われれば、ネガティブな印象をお持ちの方が大半ではないでしょうか。なぜでしょう。それは、生活保護に絡んだ話題の多くが「不正受給」、または「打ち切り」「水際作戦」など、生活保護を受けたくても受けられない、そしてその結果、「孤独死」が起きた、などというものばかりで、「生保のおかげで助かった」とか「生保があるから安心」などの話を一切聞かないからではないでしょうか。
 なんでそんなことになってしまっているのか。「健康で文化的な最低限度の生活を保障する」との憲法条文はどうなってしまったのか。生活保護をめぐる動向から探っていきたいと思います。

05 Jul

 

 先月、年齢とともに味覚が変わることを書きましたが、また味覚が変わっていることに気づきました。

ハンバーガーの次は餃子です。餃子は小さい時から食べていたものです。おいしいと思って去年ぐらいまで食べていたのですが、先月久しぶりに餃子を食べると「肉臭い・・・」と私の脳が反応してしまい、餃子が食べられなくなりました。「次はメンチカツやろか、ウインナーやろか・・・」と思うと今まで食べていたものに手が出なくなってきました。味覚に詳しい人がいたらこの原因を教えてほしいものです。

 

話しは変わって、先日、生活保護法「改正」案が廃案になりました。それを見た時、ほっとしたのを覚えています。あの法案が通ってしまったら一体どうなるのかと不安でした。

 

しかし、生活保護法「改正」案は廃案となりましたが、生活扶助基準に関しては、国会を通さなくても厚生労働大臣の判断で変更が可能となっています。その生活扶助基準が今年8月から減額されることが決まっています。生活扶助基準減額が可能となったきっかけは、2004年度からの老齢加算・母子加算段階的廃止だと思います(母子加算は後に復活)。生活扶助基準の一部であっても一度減額が行われるとその後も生活扶助基準は簡単に減額されてしまうのかと、上手く表現できないのですが、一種のショックを受けています。

 

生活扶助基準が減額されてしまうことで、厚生労働省は、他制度に影響を及ぼす可能性があることからできる限り影響が及ばないようにしたい、地方自治体独自の制度についても配慮をお願いしたいという旨の通知を出しています。生活扶助基準が削減されると私たちの暮らしにどう影響を及ぼすのかは以前紹介しました。それぞれの制度は、その費用のねん出が困難な人たちのために作られた制度なのです。

 

改めて例えを出すと、生活扶助基準が変わると、課税最低限も変わります。今まで住民税非課税だった世帯が課税に変わると、住民税から国民健康保険料、国民年金の法定減免なども変わってきます。このようなことに関して政府としては、2014年度は住民税に影響はないが2015年度は住民税に影響が出てくることから、2015年度以降の税制改正を踏まえて対応すると述べているのです。それに加えて、地方自治体のほうでも配慮してもらいたいとのことなのです。

 

 しかし、地方自治体が生活扶助基準削減による他制度への影響を埋め合わせることができるのか、私の頭の中では疑問が湧いています。というのは、これまで何度か構造改革という名の下で地方自治体の予算が削減されてきたからです。2000年代に入ってからは「三位一体の改革」と称して、地方交付税が削減され、地方独自の福祉的給付金(夏季見舞金、歳末見舞金など)などを含めた様々な制度に影響を与えたからです。見舞金については、減額したところ、廃止したところが多いと思われます。そのような財源削減を国が行っておいて、今度は生活扶助基準を引き下げる分を配慮してくれといわれても、どのように地方自治体は配慮すればいいのでしょうか。だから頭の中で疑問符の「?」が浮かんでくるのです。

 

 生活に困窮した時に利用できる制度が、生活に困窮した人たちの最低生活基準が変わることで、それらの制度から排除されていくのです。厚生労働省がよく使う資料に消費実態調査があります。収入階級を10分位に分けたときに下から1番目、本当に低所得の方たちの消費実態と生活扶助基準を比べることがよくあります。今まで利用できた制度が利用できないなどということが起これば低所得の方たちは他の消費を削減せざるを得なくなります。削減しやすい費用というのは食費や衣料費など、他のものに置き換え出来る、以前のものが使えるなら買うのを控えることができる家計に対して柔軟性のある費用です。家賃や社会保険料などは安いものに置き換える、払うことを控えるなどできませんので、必然的に家計を圧迫してきます。生活保護世帯はこれら家賃や社会保険料の費用によって生活費が圧迫されない制度設計になっています。家計構造が違う世帯同士の生活実態を5年後に再度比べたら、また「生活扶助基準の方が高い」と言って生活扶助基準が削減されるのではないかと思うのです。生活扶助基準削減という政策は、歯止めをかけない限り、際限なく繰り返される政策なのです。

 

元金沢星稜大学非常勤講師 冨家 貴子