「生活保護」という言葉に、みなさんどんなイメージをお持ちですか。
 ポジティブかネガティブかと問われれば、ネガティブな印象をお持ちの方が大半ではないでしょうか。なぜでしょう。それは、生活保護に絡んだ話題の多くが「不正受給」、または「打ち切り」「水際作戦」など、生活保護を受けたくても受けられない、そしてその結果、「孤独死」が起きた、などというものばかりで、「生保のおかげで助かった」とか「生保があるから安心」などの話を一切聞かないからではないでしょうか。
 なんでそんなことになってしまっているのか。「健康で文化的な最低限度の生活を保障する」との憲法条文はどうなってしまったのか。生活保護をめぐる動向から探っていきたいと思います。

27 May

今回は、前回に引き続き、全大阪生活と健康を守る会の方からいただいたアンケート集計の内容を少し紹介したいと思います。

 今回は、「生活保護を受けてよかったこと」の自由回答をみてみました。回答は209世帯でした。

 

 「生活保護を受けてよかったこと」といっても、何がよかったのかはその世帯によって違ってきます。そこで、前回に引き続き、筆者の判断で分類してみました。すると、一番多かったのが「安心して病院にかかることができるようになった」で、75世帯でした。前回の紹介では、家族も含め「病気・怪我・障害によって働けないため」に生活保護を利用するに至った世帯が80世帯でしたので、当然といえばそうかもしれませんが、この結果には驚きました。今、高い国民健康保険料が払えず、また、3割自己負担のため、病気になっても病院にかかることができない世帯が増加していますが、生活保護を利用するまで安心して病院にかかることができない状況にあった世帯が非常に多いことが浮き彫りになっていると思いました。自由回答の内容は、「年金が少ないのでこのままだと病院にも行けませんでした。血圧と心臓が悪いので生活保護が利用できる様になってたすかります」(ママ)「脳梗塞で倒れ、1ヶ月以上も病院に行かず、生健会のお陰で助けて頂き現在も通院とリハビリに専念して3年も過ぎたがこんなに長くかかる病気で申し訳ない」(ママ)「10年以上、C型肝炎で苦しんでいたとき、生活保護を受けられることを知り、それから病院にも安心して行けるようになり、身体もだんだん楽になりました」「子どもたちが自分の病院費用のことでケンカすることがなくなった」等、重篤な病気でも、生活保護を利用するまでは病院に行くことができなかった、医療費のことで家族関係にまで影響を与えていたというものでした。この国の医療保障が機能していないことが、生活保護から見えてきます。

 

その次に多かったのは「なんとか生活できるようになった」で、67世帯でした。自由回答の内容は、「生活保護申請中3、4日間、水だけを飲んで、部屋で横になっていた時の苦しさを思うと本当に助かりました」「何も手につかず悩んでいたことがなんとか生活できるようになって感謝しています」等、生活保護を利用するまで本当に大変な生活をされていたことが窺えるものでした。

 

 その次は、「ごはんが食べられる」「家の修理、家賃を払うことができる」で、各14世帯でした。これらは「ホームレス(寸前)だったが、人間らしい生活ができるようになった」という回答(3世帯)とも内容が重なると思いました。「人間らしい生活ができるようになった。10年以上、淀川の河川敷で生活をしていた。生活保護制度を利用できて、住居での生活ができるようになり、夏の暑さや冬の寒さ、雨つゆなどを気にせずに生活できている。今日は食べられたけど、明日は食べられるのかという心配もしなくてもよくなった」という自由回答に見られるように、「衣食住」という、人間にとって不可欠なことが満たされるということは、基本的ですがとても大切なことなのだと改めて思いました(10年以上もこの状態を放置してきた行政の対応の問題もありますが)。

 

 そして、「生活が安定してきた」「精神的に楽になった」という世帯がそれぞれ7世帯、6世帯みられました。自由回答の内容は、「子供の病気などで仕事を休んで給料が減っても、生活保護で保障されるので安心感があります」「子供がいるのですごく助かっています。精神面でも少しですが楽になりこれから先、子供と2人でやる気がわいてきます」(ママ)「精神的にゆとりがあり、不安からまぬがれた。体調のほうにも無理がなく、自分のペースで働くことができた」等、経済的な安定を得られることが、精神面にも大きな影響を与えていることが窺えるものでした。

 

 その他、回答数は少ないですが、とても大切だと思った回答がありました。それは、「毎月決まった収入があること」です。正社員として働き、毎月決まった収入がある方にとっては、当り前のようになっているかもしれませんが、決まった収入があるということは、生活の見通しを立てることができるということに繋がるのです。この時期には何が必要か、お金をいつどう使えばよいのか、計画的に考えることができるのです。私は、このことは生活を安定させる上でとても大切なことだと思っています。

 

 自由回答のごく一部を取り上げましたが、生活保護を利用するということは、人々の生活を安定させるだけでなく、これからどう生活していきたいのか、生きる意欲にも繋がるのだと思いました。

 

 しかし、実際に支給される生活保護費で生活するのは楽ではないことも、このアンケート集計は浮き彫りにしています。次回は、生活保護費での生活実態に触れたいと思います。

金沢星陵大学非常勤講師 冨家 貴子