社会保障を研究する大学院ゼミのゼミ生6人+先生が送る、社会保障の今を伝えるコンテンツ。社会保障の歴史から後期高齢者医療制度まで、広く深くお伝えします。

24 Dec

 国民的な世論で法律が変わり、中学生以下の子どもが救済された。

  一定の前進だと思うが、救済対象は本来、「18歳以下」にすべきだった。現状では高校進学率が100%近いうえ、高校生のアルバイトが認めれないこともある。政治的妥協の産物なのだろうが、非常に残念だ。


 高齢化や非正規労働者の増加で、国民健康保険(国保)の加入者の構成が大きく変わっている。85年には自営業者が30%、農林水産業が13%だったのが、01年にはそれぞれ17%と5.2%と減少し、逆に無職者が23%から50%に増えている。

 さらに国保には「事業主負担」に当たる部分がなく、加入世帯の負担がサラリーマンに比べて重い。


 お金のない人から無理やりお金を取って、「保険」として成り立たせようとしているわけで、制度的な限界は明らかだ。高額な保険料が「払いたくても払えない人」を増やしてしまった。国庫負担を増やし、「払える保険料」に引き下げることが大事だ。


  国保法では1年以上保険料を滞納した場合、市町村が保険給付を受けられないことを示す「資格証明書」を発行しなければいけない。子どもだけでなく、大人も含めて資格証明書を発行することの是非を問う必要もある。


 資格証明書世帯は全国で34万世帯にも上り、それだけの人が医療から遠ざけられている。病気は早期発見の方が治療しやすく、費用も安い。現行制度は国民全体が不健康になってしまう構図がある。「資格証明書を発行すると納付率が上がる」という統計的な裏付けも存在していない。

 困窮家庭では、保険証があっても3割の窓口負担すら払えない恐れがある。今回の議論を機に、国保制度の根本的な見直しに踏み出すべきだ。


立命館大学教授 芝田 英昭
(2008年12月22日付毎日新聞より転載)