社会保障を研究する大学院ゼミのゼミ生6人+先生が送る、社会保障の今を伝えるコンテンツ。社会保障の歴史から後期高齢者医療制度まで、広く深くお伝えします。

16 Sep

  2008825日(月)芝田ゼミ韓国研修で、隣国、韓国の労総を訪問した。

 この訪問は、韓国旅行一ヶ月前の719日、芝田教授主催の日本社会保障研究会で、金沢大学教授の伍賀一道先生を講師に招き、「非正規雇用の現状と改善の課題」をテーマに、お話を伺ったことがきっかけであった。講話の中で、現在の日本における雇用構造の変容、市場化の流れの中で労働力が商品化―間接雇用増加問題(派遣労働、業務請負、偽装請負)等を指摘され、日本国内での政策は未だ立ち遅れているが、隣の国、韓国では、同様の非正規雇用者増加の問題解決策として、「韓国非正規職保護法」が20077月より施行されていること、また、労働組合に入ることのできない非正規職員らのストライキ、抗議行動(座り込み)などの運動が活発であることを聞き、是非、韓国に行く際に調査してみよう、という経緯となった。

 

 韓国における「非正規職保護法」とは、①非正規雇用に対する不合理な差別禁止・是正を目的とし、②有期雇用及び短時間労働の濫用の制限として、2年以上雇用すると、正規職員として扱うこと、③不法な派遣労働に対する制裁および派遣労働者保護の強化として、事業者に1億ウォン(約1000万円)の罰金が法律で定められたものである。

 

 韓国労総・中央研究院・経済学博士の李さんにお話を伺ったが、2006年に54.2%だった非正規雇用者数は、2007年時点で50.2%、その時点での雇用保険掛け率は30%、また、2年以上の労働で正規職員への道という謳い文句は、結局16ヶ月で解雇するという事業者を増やすだけではないか、また、条件付きの正規職員という新たな職務給制度が生まれるだけでは、と懸念されていた。一年しか経っていないので、まだ、実態を確認できるような確実なデータが出ていないが、という話であった。

 

 李さん:「日本の政策は、じっくりと時間をかけて進行しますが、韓国では、政策が決まると、とても展開が早いのです」。→→アメリカから同時期にやってきたクリスピー・クリーム・ドーナツ(ドーナツ屋)さんがあるのだが、東京店では連日2時間待ち行列ができるのに対し、ソウル店では誰も並んでいなかった。日本と比べて、「迷う・待つ」ということが好きではなく、決断力が非常に早い、という事実を垣間見た気がした。

 

 いわゆるバブル経済の崩壊を、どちらの国も体験してきたが、日本では、景気回復の兆しがあるにもかかわらず、企業の給料はなかなか上がらないという現状に対し、韓国では、景気回復のために、IT産業やバイオテクノロジー産業への政策転換を素早く行っている。

 

 隣の国だと、競争意識がより強くなってしまうのであろうが、文化の違いはあっても、学ぶべきところは、きちんと取り入れていくべきである。日本は、もう少し国民に近いところでの政策を行うべきではないだろうか。

立命館大学社会学研究科1回生 中村 彩子