社会保障を研究する大学院ゼミのゼミ生6人+先生が送る、社会保障の今を伝えるコンテンツ。社会保障の歴史から後期高齢者医療制度まで、広く深くお伝えします。

20 Sep

 「フィンランド」という国名を聞いて、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか。

 サンタクロース、ムーミン、キシリトールガム、ノキア、リナックス……。最近は、PISA(OECDによる学習到達度調査)でトップクラスになったことから、教育分野で非常に注目を集めています。このように並べてみると案外有名なものがあったりしますが、いまいちピンとこないというか、なんとなくイメージが湧かない人も多いのではないでしょうか。

 私はフィンランドの福祉制度を研究の対象としていますが、なぜフィンランドなのか?といった質問をよく受けます。理由はいろいろあるのですが、一言で言えば、「フィンランドが好きだから」というところに行きつくかもしれません。公的なサービスが充実した北欧の福祉は、日本でもよく注目されます。ただし、取り上げられるのは多くの場合スウェーデンやデンマークであり、それらに比べるとフィンランドは福祉に関してはあまり取り上げられてきませんでした。私自身も初めはフィンランドという国にあまり印象がなかったのですが、2年前にたまたま家族旅行で行って以来、すっかりその魅力にはまってしまいました。
 

 フィンランドも、細かい違いはあれど、基本的には公的サービスが中心のいわゆる北欧型福祉国家です。私がもっとも感動したのは、とある地方の博物館に行ったときのことでした。その地域の地理的な歴史みたいなものが展示されているコーナーで、目の不自由な人のための点字の解説が展示の壁の横に置いてありました。ここまではそんなに特別なことでもないのですが、驚いたのはその点字の解説の詳しさです。もとの展示にある壁一面にあった説明の内容をすべてカバー(点字のほうは冊子型になっていたので、数ページに渡って書かれていました)し、さらに地図までもさわったら形がわかるように凹凸で描かれていたのです。日本でも点字表示はちらほら見かけますが、簡略化された説明である場合も多いと思います。このようなサービスのきめ細やかさに、「さすが」と心から思いました。他にも、あらゆるところに子どもの遊び場があった(行く先々で必ずといっていいほど見かけたような気がします)ことも印象深いです。このような配慮が、住みやすさ、さらには人々の生活の満足度へともつながっているように思いました。街では家族そろって歩いている人たちがとても多かったこともよく覚えています(ただし、首都のヘルシンキは若者が多くいわゆる“都会”といった雰囲気で、他の場所とはやや様相が異なっていましたが)。
 

 デザイン性の高い家具やかわいい雑貨、素朴だけど美味しい料理など、フィンランドを好きになった要因は他にもいろいろありますが、とりあえず2年前のこのような経験をきっかけに、フィンランドの福祉に着目し、追求してみたいと思うようになりました。

 今回は詳しくはふれませんが、フィンランドと日本はその背景や国民性などで似ている部分が意外と多かったりします。ですから、フィンランドの研究は、のちのち日本に還元していける部分も多いのではないか、とひそかにたくらんでいる今日この頃です。

野々垣麻由美